金属探知機(構想編)
2016/09/28
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金属探知機とは?
初回、第2回の記事が電子工作でないという、サイト自身の存在価値を揺るがしかねないスタートだったので、今回こそは簡単な電子工作に取り組んでいきます。
ズバリ、題材は「金属探知機」。
空港なんかで金属に反応して「ピー」という放送禁止音のような音を立てるアレですね。皆さんも一回は引っかかったことがあるかと思います。(え?ない?) ちなみに自分は、鞄に『肥後守』(折り畳み式ナイフ)を入れっぱなしにしていて引っかかったことがあります。キャンプに行ったときに使ったのを忘れてそのままになっていたのですが、それはそれはびっくりしました。「金属探知機の感度ってすごい!」と。
話を元に戻しましょう。金属探知機がどのようなものかは、皆さんご存知の通りなのですが、「その仕組み」となるとどうでしょう? 案外考えたことがないものです。
そこで、今回は金属探知機の基本的な原理に触れながら、実際に感度の良い金属探知機を作っていこうと思います。(構想編(1回)、製作編(2回)、解説編(2回)の計5回でお送りいたします。)
金属探知機の基本原理
実のところ、金属探知機の基本的な原理は80年前からほとんど変わっていません。昔も今も、電磁誘導を利用して金属の検知を行っています。 具体的には、金属探知機は自分の周囲に微小な電磁界をつくり、その電磁界がゆがめられるか否かを見て、金属の有無を検出しているのです。
さて、金属探知機を作るには「電磁界のゆがみを検出する」必要があることが分かりました。
しかし、そんなものどうやって検出するのでしょうか? いくつかの方法があるので、2つほどご紹介しましょう。(かなりざっくりした説明です。詳しい人から見たら「ハァ?」となるかもしれませんが、あくまでイメージをつかむための説明として書かせていただきます。)
- 発振周波数の変化を見る方式
「発振」(発信ではない)とは電気的な持続振動を作ることを言います。たとえば、図1Aは発振していない波形で、図1Bや図1Cが発振している波形となります。図からわかる通り、「発振」は一定の周期で信号を繰り返していれば何でもよく、繰り返す信号の形は問いません。(ちなみに図1Bのようなニョロニョロした波の形を「正弦波(せいげんは)」と呼び、図2Cのようなカクカクした波形のことを「矩形波(くけいは)」と呼びます。(短形波ではない))
この発振を起こすために組まれる回路が「発振回路」なわけですが、金属探知機に用いられる発振回路は大抵、「コイル」と「コンデンサ」を用いて作られます。その際、発振周波数(1秒間に信号を繰り返す回数)は、コイルの「インダクタンス」とコンデンサの「キャパシタンス」によって決定されます。周囲に金属があったりすると、このインダクタンスとキャパシタンスの値が変化するので、発振周波数も変化します。したがって、この変化を検出してやれば金属の有無を検知できます。 - 失われる電力を監視する方式
このタイプの金属探知機も、「コイル」と「コンデンサ」からなる発振回路を持ちます。ただ、1の形式と違うのは、近くに金属が存在した時に自分から失われるエネルギーを積極的に監視するということです。 例えば、IH調理器。IHはInduction Heatingの略で、日本語では「誘導加熱」と呼びます。あれは、コイルに発振波形を加えてやり、鍋にエネルギーを送っているわけですね。つまり、IH側からすると、「俺からエネルギーが失われたってことは、そこには金属が存在するに違いねぇ」ということになります。
まあ、実際問題として、金属探知機にIH調理器と同じような大電力を使うと、相手の金属がアツアツになってしまうので、そのあたりは加減が必要ですが、原理としてはこんなイメージです。
さて金属を探知する方法として二つの方式をご紹介しましたが、それぞれの組み立てやすさはどうでしょう?
実際にネット上に上がっている「自作金属探知機」の多くは1の方式のようです。一般にはマイコン(小さなコンピュータのようなもの)を用いて発振周波数を監視すればよいだけなのでお手軽です。
しかし、「マイコンを使うと簡単にできる」ということは、逆に「マイコンのプログラミングの方法を知らなければ比較的困難」ということにもなります。
2の方式はあまりネット上では見かけません。(なぜだろう)
しかし、この方式はアナログ回路を少しかじってさえいれば、プログラミング不要で簡単にできるので個人的にはおすすめだったりします。
他の人がやってる方式で攻めてもあまり面白味がないので今回は2の方式で設計を進めることにしましょう。(実際には、1の方式でマイコンを使わず、2組の発振回路を用いるものもあります。しかしこの方式は調整項目が多いので、初心者向けではないと判断しました。)
あ、もちろん今回製作する金属探知機はIH調理器みたいに相手の金属がアツアツになることはないのでご安心ください(笑)。
そろそろ文字数も2000文字を超えて疲れてきたので、実際の回路図、部品表、作り方についてはまた明日…zzz
質問などあればお気軽にコメントどうぞ。
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