電子工作と理科実験のエレテック

金属探知機(解説編1)

      2016/09/28

多くの電子回路は、複数の要素技術を組み合わせて作られています。今回の金属探知機も例外ではなく、実に6つもの技術を組み合わせて作られています。
複雑な回路になればなるほど、組み合わせる回路の数も多くなるので難しくなりますが、一つ一つを抑えてしまえば、作りたいものを自由に作れるようになります。
初心者の方は、ぜひとも今回の金属探知機から「6つの技術」を学び取ってください。

金属探知機の構成

今回製作した金属探知機の回路図は、「製作編」で紹介させていただきましたが、先述の通り、6つの部分に分けることが出来ます。
下の回路図をご覧ください。

Metal-detector-sche2

6つの要素技術をいっぺんに説明するとかなり膨大な説明量になってしまいます。
そこで今回は、上の図に示す6つの要素のうち、1. ハートレー発振回路 の原理についてのみ、説明をしていこうと思います。といっても、今回の工作で最も難解な部分は1のハートレー発振回路になりますので、今回が一番しんどいかも・・・(書く方にとっても(笑)

ハートレー発振回路

ハートレー発振回路は上の回路図中のL1, C1, C2, R1, R2, Q1からなる回路になります。
少ない部品で安定した発振をさせることが出来る回路ですので、アマチュアにはよく用いられる回路になります。
この回路がなぜうまく発振をするのかについて、詳しく見ていきましょう。

コイルとコンデンサを並列につないだ「LC回路」は「振動」という現象を引き起こします。
まずはコイルとコンデンサの特徴について軽くおさらいしましょう。 「コンデンサ」は電荷を蓄えるはたらきがあります。 一方コイルは、電気が流れ始めるときは電気が流れるのを阻害する働きがあり、電気が流れ終わるときは電気を流し続けようとする働きがあります。(つまり、電気の流れが変化するのを嫌う。)

では、コンデンサとコイルを下の図のようにつないでやると、何が起こるのでしょうか?

osc1

まず、コンデンサの上側の端子に+の電荷、下側に-の電荷が溜まっているとします。
osc2

すると、コンデンサの2つの端子はコイルを通して互いに接続されていますから、電気が流れようとします。しかし、コイルがそれを邪魔します。osc3
しかし、コイルは「変化を嫌う」だけなので、ずっと電気を流そうとするとだんだん電気が流れるようになってきます。(このことを「過渡応答」といいます)
osc4

やがて、コンデンサに蓄えられていた電荷はなくなりすっからかんになります。でも、コイルは「変化を嫌う」ので、電気を流し続けようとしてしまうのです。
osc5

すると、当然コンデンサは逆に充電され始めます。
osc6

しかし、先ほどと同じく、コイルは「変化を嫌う」だけなので、だんだん電気を流すのを諦めてきて、最初と同じだけの電荷を逆にコンデンサに蓄えさせた段階で、完全に電気を流すのをやめてしまいます。
osc7

上の図を見てください。これは最初の図とちょうどコンデンサの電荷が逆の状態ですね? すると、最初と逆方向に電気が流れようとするわけです。
osc9

これを繰り返すと、コンデンサの上側の極の電圧は次の図のようになりますね。osc10
これはまさに「正弦波発振波形」ですが、実は実際には使うことが出来ません。というのは、これまでの図では「流れる電気のエネルギーは一切失われない」という前提でお話をしてきたからです。 実際は電気が導線を流れると、導線の電気抵抗などで、徐々にエネルギーが失われて行ってしまいます。すると、実際の電圧は次の図のようになります。
osc11だんだん振れ幅が小さくなっていっています。このように、振れ幅が小さくなりながらの振動を「減衰振動」といいます。
減衰振動は「安定した発振」ではありませんので、ほんの少しだけ、工夫が必要になります。
そこで登場するのが、「増幅」と「正帰還」です。

正帰還発振回路は、下図のような構成をとるもので、大まかには「増幅器」と「減衰器」からなります。

positive-feedback2上図において、増幅器は入力をA倍 (A>1) して出力するもので、減衰器は入力をβ倍 (β<1)して出力するものになります。図中の+記号が2つついてる○記号は、入力側から来た信号と減衰器の出力を足し合わせることを意味しています。
今回の場合、入力にコイルとコンデンサの並列回路がつながれている所を考えてみます。
すると、本来であれば、振動は減衰していくのですが、増幅器により少し増幅された信号が、減衰器をとおして自分の方に戻ってくるので、減衰せずに振動を続けることが出来るというわけです。

今回の場合、L1とC1で並列共振回路を構成し、減衰振動波形がコンデンサC2を通って、増幅器であるトランジスタQ1に入ります。(コンデンサC2は、直流成分がトランジスタに流れ込むのを防いでいます。)増幅された波形は、抵抗R1を通り、コイルL1の途中からまた入ってくるのです。 そうすると、本来であれば減衰していくはずであった波形はまた持ち直し、持続的に同じ振れ幅で振動を続けるようになります。
次の図は、実際に今回製作した金属探知機のハートレー発振回路の出力部分の電圧をオシロスコープという機材で見てみたものです。
metal-detector-wave1

なるほど、たしかに振れ幅16Vで綺麗な正弦波発振をしています

以上がハートレー発振回路の非常に大雑把な原理となります。
(実際、上記の説明はあまり正確ではありません。 詳細な説明は、大学の電子回路などの本で勉強されると良いでしょう。)

長くなりましたので今回はここまでにしましょう。 明日はハートレー発振回路が金属探知機でどんな振る舞いをしているかについて、実際の波形などを見ながら解説していきます。ぜひ、明日も見て行ってくださいね!

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