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金属探知機(解説編2)

      2016/09/28

ハートレー発振回路の使い道

前回はハートレー発振回路の動作原理をざっくりと説明しました。しかし、今回の金属探知機でどのようにこの回路を使うかについては説明しませんでした。
今回はまず、ハートレー発振回路が金属探知機でどのような役割をしているかについて説明していこうと思います。

まず、回路図中のハートレー発振回路の出力波形を見ていきましょう。(下の回路図中の地点Aの電圧を測定します。)
Metal-detector-sche3

すると、前回の最後でちらっと出てきた振れ幅16Vの正弦波が観測されます。
metal-detector-wave1

そこで、コイルに金属(今回の場合、プラスドライバー)を乗せてみます。
coil-metalすると、先述の回路図中の電圧は次のようになります、
metal-detector-wave2

金属をコイルに乗せると、振幅が8Vから3.2Vまで小さくなりました。 そして、正弦波の繰り返し周期も(よく見ると)少し変わっています。
この2つの現象のどちらかを監視すれば金属の有無が分かるわけですね。
そこで、今回は変化が顕著な振れ幅の方に注目してみることにしました。

包絡線検波回路

電圧の振幅変化を直接観察するのはちょっと難しいので、振幅の変化を直流電圧の変化に直すことを考えます。
そこで、登場するのが、2.包絡線検波回路 となります。 ところで、「包絡線」とは何のことなのでしょう。まずはそこから説明していきましょう。

次のような波形があるとします。
modulated_waveform

このとき、「包絡線」は次の図の赤線部分になります。つまり、(誤解を恐れずにいうと)正弦波の先っちょを滑らかに結んでいったものが包絡線になりますね。
modulated_waveform1

そして、ある信号波形から包絡線を取り出す操作を「包絡線検波」と呼びます。
この包絡線検波回路は、簡単なものではダイオードとコンデンサを用いて組まれます。(回路図中のD1とC3)

本当にこんな簡単な回路で包絡線が得られるのでしょうか?
念のため、金属があるときとないときの包絡線検波回路の出力(地点Bの)電圧を見てみましょう。

まずは金属がないときの地点Bの電圧
metal-detector-wave3

そして金属があるときの地点Bの電圧
metal-detector-wave4

なるほど。どちらもちょうど正弦波の先っちょを結んだ直線が出力されています。
つまり、この先の回路の出力には「地点Bの電圧が下がったら音を出す回路」を接続すればよいことになります。

音を出す回路

4. 分圧回路 の先に矩形波発振回路を説明してしまいます。 矩形波、というのはカクカクした波形のことでしたが、今回は音を出す回路として使っています。
(この回路についてはコンパレータの発振回路としては比較的有名なものです。)

この回路の出力(地点D)電圧は次のようになっています。
metal-detector-sound1
人間の耳はおおむね20Hz~20kHzの音を感知するそうなので、この回路の発振周波数はその間の値になるようにします。しかし、金属探知機といえばピー音なので、だいたい「ピー音」に聞こえるように3kHz程度の周波数になるようにしました。 (発振周波数を変えるには、C4, R7の値を変化させます。実験してみてください。)

分圧回路と電圧比較回路

5.電圧比較回路 は、+の入力電圧が-の入力電圧回路を下回ると出力がONになります。+の入力電圧はD地点の電圧と同じですので、-の入力である、C地点の電圧がD地点の電圧を下回ると、出力がONになるわけですね。D地点の電圧は前節の通り、0~6Vの入力を繰り返していますので、金属がないときはC地点の電圧が6V以上、金属があるときはC地点の電圧が6V以下になるようにしてやれば、金属があるときのみ出力に矩形波が現れます。

分圧回路は抵抗を2つ使った一般的なものですが、あまり抵抗値を小さくしすぎると流れる電流が多くなりすぎ、発振回路からエネルギーが失われてしまいますので、1MΩ以上という大きな抵抗を用いて分圧を行っています。分圧回路を通すことで、金属がないときのC地点の電圧が6.1V程度、金属があるときは6V以下になるようにすれば、金属の有無に反応して音が鳴るようになります。

スピーカードライブ回路

しかし、上記の矩形波発振回路を、直接圧電スピーカーにつないでも蚊の鳴くような弱々しい音でしか鳴らないので、一工夫必要です。
具体的には、トランジスタとコイルを用いて圧電素子に流れるエネルギーを溜め、一気に圧電素子を叩くようにしています。(「コイル」の性質を考えたらなぜエネルギーが貯まるのかはわかるはずです。もしわからなければ、「昇圧チョッパ」などで検索してみましょう。)結果、高々4V程度の出力だった矩形波は、40V近い電圧となって圧電素子を叩くので、大音量でピー音を鳴らすことが出来ます。

実際にE地点とF地点の電圧を見てみましょう。
まずはE地点の電圧。
metal-detector-sound2

次にF地点の電圧
metal-detector-sound3

波形はずいぶん変わってしまいましたが、最大電圧は36.5Vを優に超え、40Vに届かんばかりになっています。
これだけの高電圧で一気に圧電スピーカーを叩くために、かなりの音量でピー音が聞こえるわけですね。

 

最後に

以上、6つの要素技術のそれぞれについて、2日間ざっくりと説明をさせていただきました。
後半の回路は有名なものが多かったので、あえて説明をしていない部分もあります。もしわからないことがあれば、検索してみると多くの情報が得られるでしょう。(もちろんコメント欄に書いてくださっても構いません。)

ひとまず、今回をもって金属探知機の記事は終わりとさせていただきます。
明日以降はまた新しいことについて記事を書いていくつもりですので、もしよろしければおつきあいください!

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