電子工作と理科実験のエレテック

ゲルマニウムラジオの作り方(製作編)

      2016/09/28

いまから40年前、70年代においては電子工作の入門といえばゲルマニウムラジオと言われていたそうです。(父の談)
私は70年代の小学生ではありませんでしたが、小学生の時に初めて部品を集めて作った作品はゲルマニウムラジオだったと記憶しています。

なぜみんなこうも、ゲルマニウムラジオを初学者に教えたがるのでしょうか? それはおそらく、あの「初めて作り上げたラジオを必死に調整した結果イヤホンから微小な音声が流れだしてきたときの、言い知れぬ感動」を伝えたいからなのだろうなぁ、と私は考えています。
例によって製作編と解説編の2回に分けてお送りします。

ゲルマニウムラジオとは

前置きが長くなってしまいました。早速ゲルマニウムラジオについて説明していきましょう。
まずなぜ「ゲルマニウムラジオ」というのでしょうか? それは、ラジオの心臓部に「ゲルマニウムダイオード」という部品を使っているからにほかなりません。
後述しますが、このゲルマニウムダイオードを「鉱石検波器」で置き換えることもでき、こうしたラジオは「鉱石ラジオ」と呼ばれます。(同じく10円玉や5円玉を使ったラジオもありますよ)

さて、ゲルマニウムラジオは簡単だ、という話はよく聞きますが、実際どのような構造になっているのでしょうか?その疑問にお答えするために、以下の回路図をご覧ください。
germanium-radio-scheご覧のとおり、部品数はL1, VC1, D1, PHNの計4つしかありません。 なるほど、「世界一簡単なラジオ」と言われるわけですね。
良くある作例では、コイルL1は「バーアンテナコイル」というものを用いていますが、せっかくですので手作りしてみましょう。
(昔は親子の交流にラジオのコイルの手巻きをやったらしいですよ。)

必要な部品

必要な電子部品は次の3つだけです。

ゲルマニウムダイオード1N60

型番は1N60にこだわる必要はなく、1N34などでも構いません。 ただし、「シリコンダイオード」と書かれて販売されているものは使用できません。(解説編にて詳しく説明します。)

germanium-radio-1N60

単連ポリバリコン

私は昔ながらのポリバリコン(下記写真)を使用しました。最近は下のようなものではなく、全体が黒っぽい形態(代替品)のものが良く販売されているようです。
昔はどこででも下の写真と同じものが手に入りましたが、最近はほとんどが代替品になってしまいました。(下のポリバリコンは秋葉原のシオヤムセンで購入しました。大学院入試の帰りにね。

germanium-radio-vc

ポリバリコンには2つの種類があり、2つの端子が出ているものと、3つの端子が出ているものがあります。
ゲルマニウムラジオはストレートラジオの一種ですが、ストレートラジオに使用するポリバリコンは基本的に2つの端子が出ている単連ポリバリコンを使用します。

クリスタルイヤホン

クリスタルイヤホンは、本来「ロッシェル塩」という結晶を用いていたため、「クリスタルイヤホン」と呼ばれていたのですが、現在はロッシェル塩ではなくセラミックが用いられているため、実際は「セラミックイヤホン」となっています。

ちなみに、自分はセラミックイヤホンが手元になかったため、秋月電子で販売している圧電スピーカーで代用しました。
xtal_sp実際、近年販売されている「クリスタルイヤホン」(セラミックイヤホン)の内部構造は、上の圧電スピーカと同じものが入っていますので、同じように使うことが出来ます。 ただ、イヤホン型になっていないので、やや音声を聞き取りにくいという欠点はありますが…

その他

他、アンテナ線・アース線用のビニールコードが10m程度、コイルを巻くための径0.26mmのUEWが12,3m程度必要となります。

コイルの製作

ラジオでは、希望の周波数を選択するための回路を「同調回路」といいます。一般的なラジオでは、同調回路はコイルとコンデンサから成り、ある決まった周波数の信号のみを受信するようになっています。(ラジオで選局のためにダイヤルをまわしますが、あのダイヤルはコンデンサになっているのです。)
選択できる周波数fはコイルのインダクタンスLと、コンデンサのキャパシタンスCで決定され,fはf=1/(2π√LC)で表されます。
今回は単連ポリバリコン(おおよそ30pF~260pFでキャパシタンスが可変)を使用しますので、530kHz~1600kHzをカバーするにはL=330μH程度が適当となります。

今回は廃棄予定だったトイレットペーパーの芯(直径38.5mm)に0.26mmのUEWを99回巻いたものを使用しました。
巻きはじめは芯に穴をあけて止めました。
germanium-radio-coil1このまま99回導線を巻くと次のようになります。
germanium-radio-coil2

これでコイルの製作は終了です。(できる限り綺麗に巻いておきましょう)

配線

下の図のように、各部品を配線します。

germanium-radio-fig

放送を聞く!

組み立ての段階でわかったかもしれませんが、ゲルマニウムラジオは、電池を必要としません。
したがって、電波のエネルギーだけでイヤホンを鳴らさないといけないので、音量は極めて小さいものになります。
そこで、少しでも電波のエネルギーを効率よくキャッチするために、大きなアンテナを張る必要があります。

しかし、普通の過程で大きなアンテナを張るのは比較的困難なので、「電灯線アンテナ」と呼ばれるものを使用します。

具体的には、コンセントにつながっているケーブルに、アンテナ線の被覆をはがずに巻きつけるのです。 これだけで、コンセントの電気配線をアンテナとして利用できるので、比較的容易に大きなアンテナを構成できます。

アース線はできれば「3極コンセント」などのアースに接続するのが好ましいのですが、最悪、アース線の被膜を剥いて手で触っておくくらいでも大丈夫なこともあります。

アンテナとアースの準備が出来たら、いよいよ放送を聞きます。
まずはポリバリコンをいっぱいにどちらかに回し切り、そこから徐々に逆方向に回していきます。

すると、電波が強い局に同調があった瞬間に、放送がイヤホンから流れ出します。(音声が流れ出すといっても、蚊の羽音よりもさらに小さい音量でしかならないことが多いので、注意深くほんの少しずつバリコンのダイヤルを回してください。)

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