電子技術研究倶楽部

歯に詰め物をしたらラジオが聞こえるって本当?

      2020/12/29

ドラマ「相棒」Season7第13話「超能力少年」は本当?

さて、前回説明していたAM放送の原理にかかわる面白い話が、テレビ朝日のドラマ「相棒」で放送されていたようです。(わざわざ実家の録画を見てきました(^^;

今回はその話が科学的に正しいのかについて軽く検証を行ってみましょう。
以下、物語の種明かしを含んでいますので、見たい方のみご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回言及するのは、「相棒」のSeason7第13話「超能力少年」です。 ご存知の方もおられるかもしれませんが、この物語では、ある少年の耳に「お告げ」が聞こえてくるという事件が起こりました。その「お告げ」の正体は、近所の盗聴器。 盗聴器の仕組みは、ラジオの放送局と同じなので、少年が「人間ラジオ」になっていたのだ!という種明かしがなされました。

これは本当に起こることなのでしょうか? (フィクションにマジレスするのもどうかと思いますが、あえて突っ込んでみる(^^;;)

結論から言うと、起こりえません。どうもネット上にはAMとFMがごっちゃになってて、「可能だ」と言ってる人が多いようなので一応説明しておこうかと。

まず、作中で説明されていた原理は「2種類の金属が接触すると検波器の役割を果たすので電波が音声信号に変換される」 というものでした。つまり、上の歯と下の歯にそれぞれ別の種類の金属製詰め物をすると、歯を程よくかみしめたときに、検波器になるというのです。 実はこれは本当です。実際に同じ原理を用いた鉱石検波器なんてものがあるほどです。 しかし、この原理では盗聴器の電波を音に変換することはできないのです。何 故でしょうか?

なぜならそれは、盗聴器にはAM放送ではなく、FM放送と同じ「周波数変調(Frequency Modulation)」という技術が用いられるからです。(AM放送とFM放送は全くの別物です。)AM放送の受信・検波は「ゲルマニウムラジオ」のような非常に簡単なもので行えるのですが、「FM検波器」は簡単な回路では組めません。(一応スロープ検波というのがあるにはありますが…)
ゲルマニウムラジオについては、近々ご紹介できればなぁ、と思っています。

したがって、「歯に金属の詰め物をしたらAM放送が聞こえるようになった」くらいならまだあり得るのですが(それもものすごく眉唾物ですが(笑))、「歯に金属の詰め物をしたら盗聴器の発射する電波が聞こえるようになった」はまず起こりえません。 恐らく脚本を書いた人はどこかで、「歯に詰め物をした人がAMラジオを受信する」という話でも聞いて「電波ならなんでも音として聞ける人がいる」と勘違いしてしまったのでしょう。(「スロープ検波」というFM検波手法がありますので,ものすっごくワイヤレスマイクの電磁波が強ければワンチャンあるのかもしれませんが,まあそんな電波強度のワイヤレスマイクがあったら総務省が黙っちゃぁいないでしょう(笑).この括弧内2020/12/29追記)

しかし、フィクションとしては楽しめるので、それはそれで良いかな、とも思います。
何でもかんでも理詰めで考えたら世の中つまらなくなってしまいますので(笑)

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