スマートフォンの電波を可視化する
先日,研究の疲れを癒すために大阪日本橋のシリコンハウス(電子部品屋さん)をうろついていたところ,
LM3914とLM3915,そしてLM3916なる3つの石を見かけました.
このICどもは一部の界隈では結構有名なヤツでして,下の図のように,入力電圧によって光るLEDの場所を変えることで,レベルメーター表示器を構成できるものになります.(LM3914~1916の違いについては後々説明します.)
オーディオメータとかでよくあるやつですね.あの音が大きくなったらLEDがいっぱい光るやつ.ボキャ貧なのでこの説明で勘弁!
金のない私は普段,『興味を持ったけれども直ちに使い道を思いつかない部品は買わない』という「箪笥の肥やしを増やさないための規則その1」を遵守するわけです.しかしながらその日はすこしばかり普段と違いまして,「9月はいっぱい働いてお給料沢山もらえるんだから,無駄遣いしてもよいのでは?」と,ありがちながら魔が差したわけです.こうして,本来買う予定になかったLM3914とLM3915を一つずつ購入してしまい,「ああ,0.5時間分の時給がちっさな18ピンのIC2個に変化してしまったなぁ」なぞと考えながらも満足げに家路につきました.いま思えば,なんで欲しくなったのかさっぱり理解できないわけですが.
ミクロ経済学でいうところの「効用が最大化」されたわけです.
さて,多くの電子工作オタクな方は経験があるかと思いますが,「店頭に面白い部品が並んでるととりあえず買ってみるけれど,買ったことに満足してしまい,とくにその後使うことはない」という現象が良く起こります(当者しらべ).
私の場合も例外にもれず(?)ジャンク箱はすでに,何の目的で購入したのかよくわからん部品でいっぱいいっぱいなわけです.
そんな状態の汚部屋(おへや)に帰宅したわけですから,当然使うアテのないLM3914/15はジャンク箱直行の運命だったのですが,ふと手帖を見て11月の学祭が近いことに気づきます.
そういえば,ここ2年ほどまともに学祭展示してないなぁと.
そこで,せっかくなのでLM3914/15を使って何かのレベルを表示する物でも作ろうと思い立ったわけです.
しかし,「何か作る気になる」ことと「作りたいものが決まる」ことは全く別のものでして,ちょっと困ったことになります.
なにしろ行き当たりばったりで購入した部品ですから,用途が思い浮かばないのです.
しかたないので,「見せる相手のことを考えると,結構面白いアイデアが浮かぶことがある」という経験則に基づいて,大阪のウェイウェイした学祭で,陰気くさい電子工作サークルに来るお客さんの様子を思い出してみますと…
何も特徴がない.驚くほどない.みんな普通の人間です.(失礼!)
そりゃそうです.私が通う大阪大学は,どこぞの京都大学みたいに,2016年10月3日,後期の講義が始まる初日から正門前に機動隊が終結するような,コンテンツ力があふれる大学ではないのです.右も左もわからない学生に「左」の教えを説いてる暇があったら,簀巻きになって大阪湾に沈んでる単位のサルベージをしなければならないつまらない大学なのです.
話しを戻します.
特徴のない普通のお客さんからあえて共通項を挙げるとするならば,みんなスマホいじってる,といったところでしょうか.
(友人のS氏によると「スマホは,『すまないがホモ以外は帰ってくれないか』の略だから『スマフォ』と言わないといけない」そうですが,ここではそんなことは気にしません)
そうなると「スマホを使った,何かの強度を表示する装置で,かつ数秒,長くても数分で結果がわかる,一般ウケする装置」を作ればよいことになります.
この問題に対して,私は「スマートフォンが発射するする電磁波の強度をリアルタイムで表示する装置」という回答を出します.
つまり,スマートフォンが何らかの理由で(インターネットサイトの閲覧,メールの受信,etc…)電磁波を発射した時,その強度をレベルメータで表示するようなブツを作ろうというわけです.
考えると『一般ウケする』という最も大切な部分が抜け落ちており,製作者の自己満足に終わる可能性が高い気がしなくもありませんが,まあ,工作なんて自分が
楽しければそれでいいのです.短いスパンで世の為人様の為になることをするのは「趣味屋さん」でも「科学屋さん」でもなく「技術屋さん」の仕事なのですから.
(と書くと今までだらだら書いてきた駄文の価値がゼロからマイナスになる気がしますが,真面目なところ,この工作は一般ウケすると思ってしまった自分がいるという残念さ.
まあ,研究室のとある先生によりますと私は「個性のかたまり」らしいので仕方ありませんね.)
という文章を,研究室でシミュレーションの合間に書いていたら普段の帰宅時刻である19時になってしまったので,続きはまた今度.